アジアン・トゥデイ 山市直佑写真展

山市 直佑さんは日本写真芸術専門学校3年制写真科フォトフィールドワークコースの1期生。
2006年に約180日間の海外フィールドワーク(以下 海外FW)に参加。この体験を通じて"何を"伝えたかったのか?実際にお話を伺いました。

今回は海外FW期間中の写真が多いと思いますが、テーマや撮影中に感じたことなど聞かせてください

3年時の海外フィールドワークに参加する前に、一人でカンボジアに行ってみたんです。自分がこれから行く地域の情報は持っているようで持っていない。だからそれを観たかったんです。それで、その時にも感じたのですが、初めての国々(アジアに限らず)に降り立つと最初は感動こそしますが、だんだん、どの国に行っても同じ様に見えてきてしまう…つまり共通部分が多いのではないかという認識が強くなってきました。例えば日本の中でも、田舎で育った、地下鉄なんて見たこと無いような人が都会に出てきても、普通に生活は出来ますよね。それはあるシステムが共通しているからだと思うんです。そしてそれはなにも国内だけの話じゃない。どこへ行ってもみんなが普通に生活している、営んでいる。そこには類似したシステムがあって、最初は戸惑ったとしても、根底は何も変わらないーーそんな当たり前のことに、すごく感動したんです。
でも、それってどういうことなんだろうと思ってーー。そこから射程を延ばして考えて、どこかに原初的な部分と都市的な部分との境界線があるのでは?それを写真で表せるのではないか?と感じました。

海外FW後も撮影を続けているのですか?

この作品展では海外FW以外にも、台湾・タイ・カンボジアは個人的に再び訪れたときのもの、また新たに訪れたカザフスタンなど、単身で撮影に行った作品も含まれています。カザフスタンは中央アジアーーシルクロードに位置する国です。この国を含めるのに賛否両論あったのですが、気候や文化、宗教を越えて見えてくるものがあるのではないか?と思い、作品に組み込みました。

現在、大学に通われていますが、どういったことを学んでいるのですか?

今は経営学を学んでいます。『写真』とは相反するものかもしれませんけど。(笑) 写真ってすごく曖昧ですよね。同じ現場に立っていても、撮影者の意図によってどんな風にも表現できる。
自分が意図していないものも画面の中に入り込んでくる。写真の答えはこうだ!!って正解は無いと思います。経営学は、会社の個性を学び、そこからテーゼを引き出し、その理論を理論的に根拠を明示しながら組み立てていくものだと思っています。なかなか面白いですよ。ただ、あくまでも最終ゴールは『写真』になると考えています。


これからの作家活動についてと、これから写真の世界に入る人へコメントをお願いします。

実は次の作品は2006年から撮影しています。僕の家は栃木県小山市ですが、その家を定点観測しています。なんだか見知らぬ土地ばかりを見て来たら、自然と見慣れた小山市や実家に目が向いちゃうんですよね。そのうち家族写真とかも撮り始めています。僕の場合、『自分の写真が次の興味(作品)を指し示す』ことが多く、これをすごく大事にしています。なので、一度に2つや3つぐらい作品制作を同時に進めていることが普通なんです。
よく自分と向き合っている、自分の内面を雄弁に描く作品などを目にします。それらも好きだったりするのですが、僕はぜひレンズの向こう側と向き合ってほしいな、と思っています。僕の同級生ですが(昨年のコニカミノルタでのフォトプレミオで大賞をとった徳田君です)、彼は世界としっかりと向き合っている。等身大の自分で世界に対峙する。これって難しいし、凄いことだと思うんですよ。正直羨ましいです。僕もそうなりたい、そうでありたい、と感じます。自分自身と葛藤するのは写真を編集したり、撮影から帰って来たときだけ。撮影はカメラを使って外の世界に飛び出して下さい。

東京 2009年4月7日(火)〜4月13日(月) 新宿Nikon Salon juna21 大阪 2009年6月25日(木)〜7月1日(月) 大阪Nikon Salon 

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