Monuments  大河原 光さん

大河原さんは2010年に日本写真芸術専門学校を卒業されていますが、Monumentsの取材はいつごろから?

1年生の後期授業の課題がきっかけで、取材を始めました。長坂先生の「写真集を作る授業」でした。その授業で作った作品を発展させた形で、2年生・3年生になっても続けて撮影をしていました。
在学中は、この「Monuments」のテーマをメインで撮影していたせいか、周りのクラスメート達からは「お墓の写真の人」というイメージを持たれていました。当時は課題も合わせて他のテーマの写真も見せていたと思うのですが...この作品の印象が強かったのでしょう。

なぜそこまで続けられるのでしょうか?

やっぱり、『作品にしたい!!という想い』からではないでしょうか。そのために学校に入学したわけですから。作品を『カタチ』にしたいという思いが強かったと思います。

このテーマを選んだきっかけは?

個人的に墓地はすごく興味深い場所でした。
僕の実家のすぐそばに多磨霊園があって、祖母とともにお墓参りには良く行きました。墓地が並んでいる光景を見て、団地のような印象を受けたことを覚えています。
はじめは、多磨霊園や青山霊園などで、墓地の中から写真を撮っていました。ですが、撮影する中で青山霊園と周りの街並みを、ビルの上から眺めたときに、それまでとは違ったものが見えた、というような実感がありました。 それが、きっかけかも知れませんね。
それから、現在のような墓地とその周囲の状況を捉えた写真を撮るようになりました。

なるほど。でもこうやって作品を拝見させていただくと墓地って、何ともいえない空間ですよね。

そうですね。展示中、何人か海外の方もいらっしゃいましたが、興味深く見てもらえました。こんなにも街の中に墓地が紛れている様子は、海外ではあまり無いそうですね。日常の生活圏のあちこちに墓地があるのは海外ではめずらしいようです。
展示を見ていただいた方からの意見や感想は、緊張しますが、とても参考になりますね。

実際の取材中のエピソードは?

見て頂くと一目瞭然ですが、場所選びには大変苦労しました。
まずは、地図にお墓のマークがある場所へロケハンに行きます。基本は電車+徒歩です。車を使用するときもあるのですが、基本的にはNGですね。駐車場の確保と駐車料金の問題があるので。
ロケハンして場所とタイミングが良ければそのまま撮影できる場合もありますが、なかなかそう簡単には撮れませんでした。曇天や雨天は基本的には×です。そして、写真の中に空を均一に入れたいということと、遠景まではっきり映し出されていること。この作品ではそういった撮影条件をそろえる必要がありましたから。そして、墓地と撮影ポイントの位置関係で撮影時間が決まります。時間によって太陽の位置が変わるので、ビルの影になってしまったり、逆光になってしまったり、ということがない時間を選んで撮影しています。正午ころの写真が多いのですが、場所によっては、早朝や夕方の写真もあります。
この作品群では11月〜1月くらいまでがとてもベストな撮影時期でした。
あとは、俯瞰で撮影できる場所。マンションやビルなど、撮りたくても入れないところがたくさんありました。

なるほど。では、何度もお願いして撮影した作品は、お気に入りとして入っているんですね。

もちろん、気に入っている写真もありますが、厳密に言うと、「気に入っているから展示する」という事ではありません。この作品の意図と合うか合わないかを基準に必要な写真かそうでないかを決めていくんです。なので、とっても苦心して撮影した写真であっても全体の作品の意図からはずれてしまえば、展示しない場合もあります。最終的には、会場に入ってから全体の印象などを見て、展示レイアウトを調整しました。

これからの作家活動についてどのようにお考えですか?

このシリーズはまだ思考中です。2作目・3作目と続けられるように、違うテーマで同時進行中です。
先生からは、「展示の段階では次の仕事が始まっているのが理想的」と常々言われていましたので、そのような形をとりたいです。
とは言うものの、まだまだこれからなので、これからしっかりと考えていきたいです。

最後にこれから写真の世界に入る方へ一言お願します。

僕自身も卒業して間もないので、大きなお話は出来ませんが、少なくとも学生時代は真面目に写真に取り組んでほしいと思います。 周りの人を見ていると、一生懸命作品を撮ったり、授業に取り組んでいる人は、就職内定も早いですし、たとえすぐ結果に結びつかなくても、実力がある人は目に見えてわかります。在学中は一生懸命取り組むのが重要だと、卒業してから改めて思いました。
僕も在学中の一つの成果として今回の写真展につながりました。ご指導いただいたゼミの先生をはじめとする講師の先生方、教務課の先生や助手のみなさん、同級生、には素直に感謝したいと思っています。
まだまだ、自分もこれが出発点だと思っているので、がんばりたいと思います。
ありがとうございました。

6月22日(火)〜6月28日(月) 新宿Nikon Salon 9月23日(木)〜6月29日(水)  大阪Nikon Salon

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