「関西札遊び」木藤 富士夫写真展 | 写真の専門学校 日本写真芸術専門学校

木藤さんが日本写真芸術専門学校に入学しようと思ったきっかけは?

大学卒業後、所謂『サラリーマン』をしていました。僕は兄弟4人の末っ子ですが、大学の学費を親に借金していて、でもそれも返しきりましたので、よし!面白いことをやろう!と、写真の世界に飛び込もうと思いました。 最初は竹内先生みたいなネイチャーを撮りたいと考えていましたが、入学する頃にはスタジオでの広告に興味が出て。本当は美大に行きたかったんですよね。でも法政大学の経済学部に入学。当時は何か役に立つと思って勉強しました。 カメラとの出会いは、忘れもしません。ヨドバシカメラマルチメディア町田店。ニコンの店員さんに『このカメラおすすめだよ!』って言われたF80。実はこの写真展もF80で撮影しているんですよ。(笑) - これにはインタビュアーもビックリ!! - F80にカラーネガフィルムを入れて撮影。でも普通にプリントするとこんな『色』で表現出来ないんですよ。だから自分でフィルム現像をして、濃度を上げています。普通プリントする時に「C(シアン)」は動かさないのが普通ですが、僕はガツガツ変更します。でもこのプリント方法も偶然で、元々は玄光社さんからの仕事で、色々な実験を紹介するコーナーがあり、執筆しています。そんな中から生まれた作品です。

在学中の思い出は?

昼間はバイトしながら通っていました。スタジオの授業は今の仕事に本当に生かされています。波木先生の授業も、出水先生の授業も、良かったです。また、写真の専門学校って大学の時と比べ毛色が違い面白かったですね。小・中・高校と地域で括られていましたし、大学は偏差値で括られていました。でも、日本写真芸術専門学校の学生は本当に『写真』だけで括られているので今でも付き合っている人がたくさんいます。学生時代はそれが本当に面白くて他のゼミの忘年会とかにも参加していましたよ。(笑)

ホームページを拝見致しましたが、脱サラとすぐにフリーランスフォトグラファーになられたのですか?

フリーランスフォトグラファーになったのは、2005年から。本当は就活して、銀座のスタジオも良いよって言われていたんです。でも、渋谷東急東横店屋上ちびっ子プレイランドに彼女と待ち合わせた時、昼間の時間なのにサラリーマンたちが時間つぶしなのか、寝まくっていて・・・もうすぐに、「これ撮ろう!」って(笑)。就活なんて吹っ飛ばして卒業後いきなりフリーランスフォトグラファーになりました。 なりました。って言っても、最初の半年間ぐらいは仕事も無く。28歳、29歳でもうしんどかったです。精神的ダメージが大きかったのを覚えています。
待っていても仕事が来ることは無く、ひたすら営業していました。出版社や制作会社...制作会社といっても本を出版するための編集プロダクションをメインに営業しています。もう何回もアポなしで伺って、『顔』『名前』を覚えて頂く・・・営業の基本を徹底的に。(笑)
でも、最初はずーーーと成果が出なくて。最初は凹んでましたけど、へこたれててもしょうがないので。割り切って。今では、仕事用のポートフォリオを持っていかずに、もっぱら作品を見せて、向こう側から『で、どんな仕事を?』と質問されて『あぁ、そうですね。(笑)』と。
今は、ガイドブック関係の撮影や、不動産関係のイメージ写真だったり、会社案内・学校案内など。知り合いの広報マンから、舞台挨拶や声優のアフレコシーンの撮影なども頼まれています。
僕の中では、営業を極めれば仕事ができる!そう思っています。

現在展示されているこの作品はいつ頃から撮影されたものでしょうか?また、その他にもユニークな作品創りをされていますが。

この作品は2009年頃から。関東生まれ、在住なので関西が面白くて。冒頭にもお話ししましたがこれ、F80の50mmなんですよ。あと人物は60mmマクロで。 -うわぁー写真撮影の基本ですね - そうなんですよ。写真撮影基礎の先生からも、『被写体に自分から寄れ!』って何度も言われましたからね。ズームなんて・・・作品創りでは使わないですね。写真が下手になってしまうので。でも『仕事』は別ですよ。これはクライアントさんが要求しているモノを的確に撮影しなければならないので、本当に割り切っています。 -関西に行く時はどのくらいのスパンで?- 長くても5日間くらい。滞在が長すぎると疲れてしまって、良い写真が撮れないんですよ。ですけど、撮影する時は朝起きて寝るまでずーと撮影しています。一気に”ガッ”って撮るんです。

これからの活動を教えてください。

2005年から撮り続けている『おくじょう』と、『ZOO』、そしてこの『関西』を3本柱に継続的に作品創りを進めてこうと考えています。『関西』は、もう既に続編を考えているんです。ドキュメンタリーではなく遊びとしての撮影を考えていますので観光的な切り口で撮影しようと。 真実を撮るのではなくみんなが勝手にイメージしているものを追いかけている感じをイメージしています。 楽しみにしていて下さい。 『ZOO』シリーズはepSITEで展示したのですが、原宿のアートディレクターさんにも気に入って頂いたり、京橋のフォトギャラリーでの展示のお話があったりと、新しいカタチでまたお見せできればと考えております。

写真展にご来場頂いた方や、写真展ルポを読んでいるみなさんに一言。

目指す方向も人それぞれだと思いますが、どの道に進んでも『営業が命であり、柱である。』これは共通だと思います。食べていくなら営業が無いと無理といっても過言ではありません!他人のことなど気にしない方が良いですし、慣れが必要ですけど、一回だめでも、何度でもチャレンジして下さい。そして頂いた仕事は本当に嬉しいモノですから。 - 学校の選択授業にも『営業テクニック』
みたいな授業を入れた方が良いですね(笑)-
最後に、『おくじょう』シリーズですが、その一番最初に撮影を始めた渋谷東急東横店屋上ちびっ子プレイランドが2013年1月で閉館してしまいます。
本当にあの青空の下にあるデパートの屋上遊園地には様々な想いが溢れています。どうか皆さん足を運んで下さい。まだ行ったことの無い人。昔懐かしいと思った人。渋谷東急東横店の屋上にありますので、是非よろしくお願いします。

富士フィルムフォトサロン東京 ユーモア溢れるお話をして頂き、ありがとうございました。
木藤さんの「おくじょう」をテーマにしたサイトがオープン致しました。
http://okujo.fujio-panda.com
普通に写真に興味の無い方でも「おくじょう」というくくりで楽しんでもらったら嬉しいです。
みなさん、よろしくお願いします。

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