point de rencontre 1

こんにちは。
ここでは、わたしがフランスで出会った写真の仕事をする人たちに聞いた話を、みなさんと共有できればと思います。
タイトルは、フランス語で「接点、合流点」という意味です。
**第一回目**
Anne-Fredrique Fer さん& Samuel Hence さん
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ふたりは、自身もそれぞれ自分の作品を撮り、発表しながら、パリ市内の展覧会やイベントを紹介するウェブサイトを共同で運営する仕事などをしています。
インタビューをさせてもらったときは、ちょうど二人ともパリ10区市庁舎での写真展の期間中でした。
運良くお天気だったので、賑やかなカフェのテラスに陣取って、ビールとガトーショコラ+コーヒーとカフェオレを注文して、ゆるやかに本題へ。
—まず、現在の仕事やプロジェクトのことを簡単に教えてください。
Samuel (以下、S):まず今は10区市庁舎での写真展。それと、Nantesというフランス西海岸(彼の出身地 )で、森の中の自然と人間の関係をテーマにした写真を撮り始めている。
Anne-Fredrique(以下、A):私もいま10区市庁舎の写真展。それから、ずっと進めているのが、私のウェディングドレスをテーマにしたプロジェクト。その作品の第一部は、La Halle Freyssinetという、SNCF(フランス国鉄。日本で言うJR。)が昔使っていた古い建物で、モデルを呼んで撮影したの。私の「結婚感」を表そうとしていて、ドレスは掛けられた状態のままで、モデルには黒い衣装を着てもらった。この第一部はさらに7つのパートに分かれていて、それぞれのパートは3枚の写真で構成されている。それらがクロノロジーになっているわけ。この第一部は”déliée”というタイトル。
第二部はまさにいま準備中。狩猟博物館で撮影しようとしている。博物館のコレクションの中でウェディングドレスを撮る。大きな動物と一緒にね(笑)
いま、許可を撮っているところだからもうすぐ返事がもらえるはず。
そして、このあとに第三部が来て、三部作になる予定。
S:複雑な作品だね(笑)
A:(笑)第一部はもうすぐ撮影が終わるところ、第二部は準備が整うところ、第三部はまだ頭の中。場所の許可取りで、いまはその返事を待っているところ。
—Samuelのプロジェクトは、なにがきっかけで始めたのですか?
S:両親がNantesに住んでいて、最近海岸沿いに別荘を買った。そこは、ビーチと森に囲まれていて、そこのランドスケープに惹かれて撮り始めたんだ。モノクロでね。タイトルは”Signs of Life”。
でも、いまの写真展に出展したシリーズは全く違っていて、こちらは大きな都市で撮影した。こちらは”Lights of City” というタイトル。このシリーズはiPhoneで撮影したんだよ。
—いつもはデジタル?フイルム?
S:時によるね。作品によって変えている。
A:私はいつもフイルムだけ。いつも私のMamiya C330!Mamiyaは日本のカメラでしょ?
—そうそう(笑)特別な理由はあるの?
A:Mamiyaの四角い画面で撮りたいのとね。私のMamiyaを愛しているから(笑)
3人:(笑)
—今度は過去のことで質問なのですが、写真に初めて興味を持ったのはいつですか?最初の出会いを教えてください。
A:私は15歳の時に写真専門の高校に通い始めたこと。そのとき家族とベルギーに住んでいて、そこには高校で写真を専門に学べる学校があったの。
—15歳はとても若いけれど、なぜ写真を専門にしようと?
A:うーん。分からない。たぶん、祖父の影響だと思う。彼はよく写真を撮っていたから。私はいつも映像、イメージに関わっていたいと思っているの。祖父は、私に初めてのカメラを与えてくれた人だから。私が8歳のときだった。
—それがMamiya?
A:ううん、違う(笑)でも日本製のコンパクトカメラだった。
—その学校ではどんなことを学んだのですか?
A:技術的なことがほとんどだった。撮影から暗室作業やスタジオ撮影も。いろいろな機材で。モノクロもカラーも、ひと通りやったな。
—Samuelは最初に写真を始めたのはいつでしたか?
S:初めてというと、うーん、そうだな15歳くらいの時かな。と言っても、作品を撮りたいなんて思っていなくて、バカンスの思い出や、家族の写真を僕が撮っていたっていうだけのこと。10代の間はずっとそんなふうに、家族の写真を撮っていたよ。
その後、2001年にパリで暮らし始めたころから、写真の夜間クラスを受講し始めたんだ。だから、自分の写真を撮り始めたのはその頃ということになるかな。Anne-Fredriqueとは同じクラスで知り合ったんだよ。アトリエ・ボザールのコースで、2006年頃だったかな。
—パリへは仕事のために出てきたのですか?
S:そう。会計士をしていたんだ。全く違う仕事だね。
—なぜ写真のコースに通い始めたのですか?
S:父親が古いレフレックスカメラをくれたことがきっかけかな。24、5歳くらいのときだった。家族の写真も相変わらず撮っていたけれど、だんだんと、もっと別のいろいろなものも撮りたいと思うようになったんだ。自分の写真をもっと上達したいと思うようになった。とはいえ、やはりあくまで趣味として撮っていたけれど。プロとして写真の仕事をしようなんて思っていなかったよ。でも、10年経ってみたら、この通り(笑)
A:(笑)
S:頭がおかしくなったんだな(笑)僕らは狂ってる(笑)
A:私は19年経ってから(笑)
3人:(笑)
—でも、どうして写真を生業にしようと?変わるきっかけは?
S:うん、会計の仕事がとても退屈だったから。魅力を感じなくなってしまったんだ。そんなふうに、仕事では何か変化が必要だと思い始めた一方で、写真はずっと好きだった。写真の夜間コースも相変わらずずっと続けていたしね。
A:私はこれまでずっとイメージに関わる仕事をしていた。最初から特にフォトグラファーになりたかったわけではないけれど、でもいつもイメージ(写真や映像)に関わってきたの。写真の専門高校を卒業した後、こんどはSupinfocomという、コンピュータグラフィックを専門に学ぶ大学で技術を学んだの。3Dやアニメーションなどの特殊効果などなど。その後、広告の映像のポストプロダクションの仕事を始めた。その仕事は4年間くらいかな。そして、2005年からは写真の仕事だけをしている。
—-写真の仕事を始めてから、写真のスタイルや考え方は変わりましたか?
A:自分ではわからないけれど、やはり変化はしていると思う。私はいつもプロジェクトを決めて撮影をしているんだけど、そういう意味で、方法は変わっていない。カメラもずっと同じMamiyaを使っているし。四角く、反転して映る画面を見て撮影している。見ているものも変わっていない。けれど、そうやって同じ方法で撮っていても、最終的に出来上がってくる写真は変化しているの。
S:僕は分からないな。変化というよりも、常に進化し続けているという感じだな。ほぼゼロから(写真を)始めたからね。
—-この記事を見る人も、写真を始めたばかりの若い学生が多いと思います。日本では写真美術館は少ないし、チケットの値段も高かったり、特に地方では写真に限らず美術作品に触れる機会が少ないのですが、それについてどう思いますか?
S:フランスではそうでもないかな。美術館もギャラリーもたくさんあるし。チケットは高いところもあれば、安いところもある。写真のフェアーやフェスバルも沢山開催されている。入場料が無料のイベントもたくさんあるよ。
A:でも高いところは高いけれどね。企画展になると10ユーロ位するところだってあるし。最近はどんどん値上がりしている。フランスでも、地方では美術館もそれほど多くない。
—-子どもの頃は、写真などの作品に触れる機会は沢山ありましたか?
A:いいえ。10歳のころはアルルに住んでいたこともあったけれど、国際写真フェスを見に行ったことは無かった。(写真祭の)存在は知っていたとは思うけれど。そういうのは自分から観るようになったの。特に両親に美術館に連れて行ってもらったことはなかったな。
S:僕も同じく。休日にパリに来てルーブル美術館に連れて行ってもらったことはあったけれど、特に写真作品を集中して鑑賞したことはなかった。やはり、自分から美術館に足を運ぶようになったね。
—-では、将来のことについて質問です。これからやりたいことは何ですか?
A:続けていくこと。ギャラリーを持つことや、アーティストレジデンスや、いろいろな夢がいっぱい。
S:僕もまったく同じ。
A:継続ね。
S:写真の仕事を始めてから、日々の仕事のなかでも少しずつ変化や進化をし続けているけれど、同時にやらなければならない事もどんどん増えているような気がしている。自分をより磨いていくために、ね。
A:その通り。それから、人との出会いも。たくさんのプロフェッショナルとの繋がりも広げていきたいね。
—-では最後に、日本で写真を学ぶ若い学生たちにメッセージをお願いします。
A:自分の直観を信じること。自分でいいと感じたことを信じること。他人や流行に流されるのでなく、自分を見失わないこと。他人の人生でなくて、自分の人生だから。
S:僕もそれに同意。それから、写真の歴史を知ること。それは、現代のことを理解するために必要だと思うから。
A:確かに。それから、写真に限らず、いろいろなアートワークを観ることも大切ね。
—-どうもありがとうございました。
この日は天気が良かったので、日光がさんさんと照りつけるテラス席で話を聞きました。刺さる日差しがいくらまぶしくとも、カフェのテラス席を愛するフランス人。写真の表情もまぶしそうですが、終始なごやかに話をしてくださいました。
二人が参加した写真展は、無事に終了。これからまたそれぞれの仕事とプロジェクトに戻ります。
先月初旬のパリフォト期間中は、パリ市内各地で写真イベントが開催され、二人はそれぞれプレスで参加していました。
これからやりたいことが沢山と言っていた二人。Samuelは日本でワークショップに参加したり、実施したりもしてみたい、と言っていました。遠からず実現するのではないでしょうか。そのときは、みなさんもぜひご一緒に。
**リンク(いずれもフランス語)**
Anne-FrederiqueさんのHP: www.annefrederiquefer.com
SamuelさんのHP: http://samuelhense.fr/
二人が記事を書いているパリ展覧会情報サイト: www.francefineart.com
文責: 中井涼子

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