「Not Yet Refugees」添田康平さん

添田さんが写真学校に入学しようと思ったきっかけは?

高等学校卒業後、4年くらい働いていました。元々「写真」には興味があって、 通信講座で写真を勉強したこともありましたね。ドキュメンタリーをやりたくて。石川文洋さんに憧れています。
でも通信講座だと、どこに行って写真を撮れば良いのかわからなかったので、写真学校に入学しようと決めました。
親は反対しましたね。なぜならば、親元で働いていましたから(笑)。大事な戦力が無くなると・・・。親を説得して、奨学金を借りながらII部(夜間部)へ入学しました。

在学中エピソードなどがあれば、教えてください

とにかく、色々な人たちが居て、面白かったですね。1年生の同級生で桑原くんとは現在も同居中です。
『桑田企画』を設立し、一緒に写真展を開催したりしています。人間的に息が合うというもので、感覚がお互いにわかりますね。
武田さんとも1年生からいっしょでした。(Vol.14参照)
何故か男性が多かった気がします。
鈴木先生には衝撃を受けました。2年次のゼミ選択時で、『有名な写真家の作品を見たことがあるか?』と。そんな角度から言われたことが無かったので。 自分の作品を創る上で、他の写真家を参考にしないとブレてしまう場合もあるから、重要ですよね。

添田さんは2007年度の夜間部卒業との事ですが、この作品は何時頃から?

この作品は、卒業してから取り組みました。在学中に外国人留学生を被写体に東京:新大久保周辺に通っていました。新大久保にあるイスラム系インド人のスーパーなどは、日本人のお客さんがいませんでしたから。(笑) 何度か通っているうちに、一人の男性に出会いました。それがゾウさんで、ミャンマーから来日した難民認定申請中の方でした。僕はテーマを探していましたし、たぶんゾウさんは「真実を知ってほしい」と考えていたと思います。お互いの利害もありましたが、純粋に興味がわいたので友達になりました。その中で紹介されたのが、今回写真展でご紹介しているタボさん。タボさんはスリランカのタミール人です。僕もスリランカを訪問したいと思っていましたから、彼からたくさんのことを教えてもらいました。スリランカでは、2009年まで少数民族のタミール人とシンハラ人との間で内戦状態でした。タミール人側は“タミールタイガー”と言われる武装組織が活動しているので、『添田さんは絶対に行くな!』と言われました。普通は『是非、母国に遊びにきてほしい』と言われるのですが・・・タボさんは逆に行くのを止めてくれました。

普通のタボさんは面白いスリランカ人ですよ。本当に普通の・・・。現在難民認定申請中ですが、証拠が無いと申請が下りません。口頭ではダメだそうです。 現在難民申請が許可されている方の80%くらいはミャンマーの方だそうです。日本が難民を許可するとその国の政治や治安が悪い。と認めていることになります。現在、サボさんは入国管理局に収監中です。

なかなか政治も絡んできて、難しい話ですね。

僕は、この辺りを強調したい訳では無いんです。ただ、ゾウさんにしてもタボさんにしても出会わなかったら何も出来ませんでした。また、何もしていないと辛いんです。僕は『写真』というツールを使って友達になれました。ここにも展示しましたが、収監中でもタボさんは手紙を送ってくれます。

色々な人々に意識が向いたらと思っています。

これからの活動について。

タボさんの作品はこれで終わりにします。ただ、知り合った人々との関係は終わりません。これからもずっと続いていくと思います。 日本の中の外国人をテーマに興味があれば撮影したいです。
また、5月には写真集が発売予定です。見て頂ければ嬉しいです。

これから写真の世界に入る人へコメント

自分の作品は自分だけではわかりません。ひょっとしたら、”自分”を見失うかもしれません。友達や先生が本当に大切だと思います。自分がどういう作品を撮るのか?しっかり見つけなければなりません。そして自分で決めて考える・・・
自分なりに考えて撮影すればきっと良い作品が出来ると思いますよ。
頑張りましょう。

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