「関西札遊び」木藤 富士夫写真展 | 写真の専門学校 日本写真芸術専門学校

穂積さんが日本写真芸術専門学校に入学しようと思ったきっかけは?

高校時代、図書室で前田真三さんの作品集をよく見ていました。工業高校出身なのですが、実は理数系が苦手ということに気付き、前田真三さんの作品に憧れたこともあって写真を学んでみようと思いました。 私は写真を初歩から長く学びたいと思っていましたので3年制の学科を探していました。 3年制の学科は他の学校にはほとんどなかったことと、体験授業での印象がとても良かったことで日本写真芸術専門学校に決めました。 体験授業はとても丁寧で現像から暗室プリントまで体験させてもらいました。 フォトアートゼミで入学をしましたが、2年生になると同時にフォトフィールドワークゼミに転科をしました。入学時は写真を知らなかったのでフォトフィールドワークゼミは選択肢にありませんでした。1年間写真を学ぶ中で「自分の内面を表現する写真」ではなく「世界で起こっていることを伝える写真」がやりたいことに気付かせてもらいました。フォトアートよりもフォトフィールドワークの方が自分がやりたいことを実現できると思い転科を決めました。

フィールドワークゼミに入学したのは?

サルガド先生と出会えたことはやはり印象に残っていますね。先生の言葉で特に記憶に残っている言葉があります。「写真を人生にするな。人生が写真になるようにしろ。」という言葉です。
恋愛や金銭面など、人生の様々なことを写真に還元する必要があります。 つまり写真の前に人生経験をしっかり積むことでより良い写真が撮れるようになる、ということをおっしゃっていました。
海外フィールドワーク中に行ったマレーシアのスクーリングもとても思い出に残っています。ばらばらに撮影していた仲間達が久しぶりに施設に集合し、ゆっくりと話をしたり作品をお互いに見せ合ったりしました。みんな充実した旅をし、様々な面でお互いの成長を実感できました。 在学中の思い出は他にも数え切れないほどたくさんあります。

海外フィールドワークでこのテーマにしようと思ったのは?

卒業後はスタジオ系のカメラマンとして就職をしましたが、現在は退職をしてフリーのカメラマンとして生活しています。
仕事としてはアーティストの宣伝写真を撮影したり、ペット関係のパンフレット撮影など、様々に仕事をさせてもらっています。

海外フィールドワーク中のハプニングなどあれば教えて下さい。

今回の作品はフィールドワーク中に撮影していたテーマの継続版なんですよね。 当時はバナナシ(インド北部)で撮影していました。バナナシでの撮影は、人々の悲しみや驚きしか写っていませんでした。自分と被写体の関係が撮れていなかったんです。もっと人々の生活に踏み込んで撮影出来れば良かったと今では心残りの行程となってしまいました。
北インドは観光地となっていて制約が多い地です。ですので、今回の撮影では南インドに撮影地を変えました。南にはホスピスのコミュニティがあります。(ホスピス:ターミナルケア(終末期ケア)を行う施設のこと)そこを中心に撮影をすることに決めました。施設は地元の方の寄付金で運営されています。南インドはキリスト教の共産主義が根付いてる地域です。施設の入居者を守るという意識ではなく、一緒に暮らそうという意識が強いようでした。北インドでの施設入居者は料理や掃除など、何もやりません。周囲の方がやってくれます。しかし南インドでは身体が不自由な方でも料理をします。中には内職をして自分が欲しいものを購入する人もいます。そういった北インドと南インドの文化の違いにはとても驚きましたね。
南インドは3年半ほど前から1年半前くらいまで4回かけて撮影しています。1回行くと4カ月くらいは滞在するので1年近くは撮影していたことになりますね。

卒業してから感じた事。

写真展ではたくさんの方に来ていただけました。写真を学んでいない方もたくさん来ていただけました。いままでは写真を知っている方に作品を見てもらうことが多かったのですが、写真を学んでいない方から意見をいただくことで自分では気付かない自分の側面に気付くことができました。
なかには、私としては苦しそうに見えると思っていた作品を見た方が、この作品に写る男性の目を見て「目が生き生きとしている。これから自分も頑張れそうだ。」と自分とは真逆の感想を言っていただきました。
作品の捉え方の違いは本当に勉強になりましたね。

これからの活動について。

まずはフリーのカメラマンとして収入元をしっかりさせ、安定した生活をおくれるようにします。やっぱりドキュメンタリーが好きなんですよね。自分が表現したいこと、趣味をしっかりと出来る状況を作りたいと思っています。次は中東、パレスチナ辺りに行きたいと思っています。
将来的にはもちろんドキュメンタリー系。野心はあります!詳しくは内緒とさせて下さい。

みなさんに伝えたい事。

勉強はとても大切だと思います。撮影に出かけるためには行程のプランニングが大切ですが、撮影のプランニングもとても大切だと思います。撮影地の人々が大切にしていることを勉強しておかないと撮影しなくてはいけない大切な被写体を逃してしまいます。現地の人々が何を大切にしているのか、どんな生活をしているのかなど、しっかりと撮影のプランニングをすることで最高の撮影が出来ると思っています。

富士フィルムフォトサロン東京

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