「うまそうなまちかど」村田 卓也

東京郊外のまちかどに野菜を商う小屋があります。個人の畑で収穫したものを手軽に売っているお店です。そんなお店なのですが様々な場所にあり、店構えも様々であり、その主もまた様々なようです。
私の住んでいる町の周辺を10キロメートルほど探し廻ってみたところ、季節によってあったりなかったりするものの200軒近くもみつけることができました。なぜこんなにあるのでしょうか?
撮影を続ける中でみえてきたのは野菜を売る側にではなく、野菜を買う私達の側に理由があるのではないかということでした。

日本写真芸術専門学校に入学しようと思ったきっかけを教えて下さい?

大学では地理学科を専攻。大学を卒業したのですが、趣味で撮影していた写真を本格的に学びたくて、II部(夜間部)に入学しました。 親からは「働け」とはあまり言われなかった気がします。写真の学校に入学するのも凄い反対された訳ではありませんでした。どちらかというと、自分でやるのだったらOKということでしたね。もちろん学費は自分で。またII部だったので昼間は働いて、夜は勉強。という2年間でした。

在学中の思い出や心に残っている出来事はありますか?

今でも覚えている先生は染谷先生や鈴木先生、樋口先生、大日方先生など。学生時代から家をテーマに撮影していました。当時はモノクロ写真で、毎週課題の提出があり、眠かったなぁって記憶しています(笑)

作品について教えて下さい。

- この作品はいつごろ撮影されていますか?-

しばらく東京での暮らしをした後、埼玉の実家の近くのアパートに引っ越したんですけど、改めて実家周辺の様子を眺めてみて、面白いものがあるなぁ。と。それで撮り始めました。撮影期間は3年くらいです。

-小屋で野菜を売っているんですよね。撮影が終わったら買ったりするのですか?-

はい。よく買いますよ。でも必要な時だけですけどね。無駄になっちゃうので必要以上のモノは買いません。

- あと、作品の中にはあまり人が入ってないのですね。(何枚かは人が写ってますが。)-

そうですね。まぁ、写真の中にいなくても良いかな。とは思うんですよね。人間が入ってくると強くなりすぎるし、そっちに意識が向いちゃうと思うんです。あと、観て頂いた人から「もっと人物の入った作品は無いの?」と言われるかな。とも思いますんで、人間にはスポットを当てていません。あくまでもお店と、そのお店のある空間を撮影しています。
この作品は一つの区切りが出来たので、これで終わりだと思います。いつもそうなのですが、最初は漠然としていて、撮り始めてみてからどういうカタチになるか考えていく感じですかね。展示や写真集などにまとめたい気持ちはあるのですが、最初は見当がつかないんですよね。はたしてこれは作品といっていいものになるのか?という問題がいつも大きいです。
基本1人で作業していますが、まとめの部分はアドバイスを聞いたりしています。

卒業してから現在までの活動と、今後の予定

学生時代は地図を書くアルバイトもしていましたが、卒業後は写真関係の仕事をしながら継続して作品も製作しています。
写真の仕事の種類は様々で、色々な被写体を撮影しています。『写真家』とか『カメラマン』とか呼び名がありますが、私は『写真屋さん』かな。
新しい被写体を探して撮影して。一作品に5年とか。だいたいそんな感じです。最後までまとまれば良いかなと。

今回の展示は壁面にピッタリとはまって、自慢できますね(笑)見に来て頂いた方の反応良くて嬉しいです。
キヤノンの写真新世紀で佳作を頂いた『家族の中で』という作品は継続して撮っていますので、『家族の中で2』になるかは未だ分かりませんが、また発表出来たら。と考えております。

みなさんに伝えたいこと

好きなようにカメラを使って遊んで下さい!技術を勉強すると色々遊べますよ。 私は、『撮る』ことが楽しいから、発表を考えるのは後なんです。 家族の写真は小さい息子と遊ぶのが退屈でしょうがなかったことが出発点です。退屈しのぎにとなりの親子を撮影してるんです(笑) 去年次男が生まれたのであと5年はこんな撮影が続くことになるんでしょうね。

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