去る3月14日、写真家の鈴木邦弘先生が逝去されました(享年66歳)。
本会は、鈴木先生のこれまでの作品と教育活動を振り返りながら、卒業生や講師の皆様、そして生前、鈴木先生とご縁のあった皆様にお集まりいただき、在りし日の思い出を語り合う場として開催いたします。故人が歩まれた足跡を辿りながら、その思いや考えを共有する時間となれば幸いです。
【開催概要】
日時:2026年7月11日(土) 13:30〜15:30
会場: 日本写真芸術専門学校
会費:¥1,500
申込み:事前に申込み
申込み方法等の詳細に関しましては、改めてご案内申し上げます。
【本会の主旨と皆様へのお願い】
本会のタイトル「世界の手触り」は、鈴木先生がフォトフィールドワークゼミの1期生に向けて2006年に記された文章の題名に由来しています。この文章に込められた思想は、先生が一貫して学生たちに伝えてこられたことであり、具体的な「旅」のみならず、「人生」という名の旅そのものに置き換えることができると考えました。
当日は、この先生の言葉に基づき、鈴木先生の作品のみならず、ご参加される皆様が写されてきた写真を持ち寄り、講評の授業のように、机に並べて展示し見せ合う形式を予定しております。皆様の視点が重なり合い、多様な「世界の手触り」が交差する場をつくることで、天国の鈴木先生が退屈しないよう、たくさんの写真を講評できる空間にしたいと考えております。
なお、ご自身の写真をお持ちでなくても、他の方々の写真をご覧になりながら先生を偲んでいただくだけで大歓迎です。
写真の有無に関わらず、卒業生はもちろん、生前先生とご関係のあった皆様はどなたでもぜひお気軽にご参加ください。
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「世界の手触り」 鈴木邦弘
君たちは、旅の中で出会った多くの人々の何を受け取ったのか。君たちは、旅の中で出会った多くの人々に何を与えたのか。また、君たちは、この半年間の旅から何を学んだのか。そして、君たちはこれから何をやろうとしているのか。
この写真集に並ぶそれぞれの作品は、カメラを接点にした世界と君たちの出会いの瞬間であり、その手触りの形だ。そして、それらの写真群の背景には写真だけでは語り尽くせない、それぞれの小さな物語が隠れている。その物語の過程では、今まで経験したことのない様々なことが起こり、それらと共に喜び、怒り、哀しみ、楽しんだことだろう。君たちは、矛盾に満ちた世界と対峙したとき、混乱し、悩んだことだろう。歓喜に溢れた世界との出会いでは、理由を越えて、こころから感謝したことだろう。内モンゴルでは星空に宇宙を視、バンコクでは渋滞の喧騒に耳をふさぎ、コルカタでは香辛料と汗のまざった臭いに酔い、ソウルではプルコギの味を堪能し、シェムリアップでは土産物売りの子供たちに囲まれ冷や汗をかき。そう、これらが世界の手触りなのだ。
君たちは五感で世界を知ってしまったのだ。そしてその時、君たちの中で何かが変わったはずだ。そしていま、自分自身の中にある整理のつかない何ものかを感じているはずだ。しかし、自分の中でいったい何が変わったのかを、いま理解することは困難だろう。慌てることはない、時間はたっぷりある。カメラを携え前に進めば良いのだ。君たちなら出来るはずだ。何故なら、君たちは世界の感触を知っているからだ。もう後戻りはできない。君たちは、自分自身をもっと深く知るために、そして、世界の手触りをさらに経験するために、自分自身の力とやり方で旅の続きを始めれば良いのだ。さあ、旅はまだ終わっていない。