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2021/8/2
1年生はじめての屋外撮影実習と審査会

 

4月に入学し写真を本格的に学びはじめた1年生たち。

昼間部の1年生を対象に、5月に「1 年次学外研修 屋外合同撮影会」を開催しました。

 

 

各10コースに分かれ、東京の様々な場所を訪れ撮影を行い、クラスを超えた学生同士の交流はもちろん、先生たちとも親睦を深めることができました。

先生たちの指導やアドバイスのもと、撮影を進めていきます。天候にも恵まれ、それぞれが楽しみながらも撮影に集中している様子でした。

 

 

6月には「審査会」を行い、講師陣による屋外撮影実習で撮影した写真の審査を行いました。1年生がはじめて屋外実習で撮影した初々しい写真たちが教室いっぱいに並びました。

 

 

今回の審査会の受賞結果と講師コメントは下記となります。

 

◎優秀賞

1年03組 佐藤 創紀 

カメラによる映像は構想されるのではなく、現実から選択されるものだ。 現実に対する我々のパタン化された認識が写真で疑問視することによって常に更新される。佐藤さんが捉えた都市の写真は、一見どこにでもある空っぽの場所の写真だが、都市的日常空間は、新しい日常のための空間へ変容する、このゆくえは線状的、連続的であることを、写真によって視覚的に明らかにされたといえる。 校外研修でわずか午後の半日で撮影したものだと知って驚いた、とどまらず写真の勉学を励んで欲しい。

(コメント 田凱先生)

 

 

1年01組 土性 愛美 

写真の面白さは、見えているにも関わらず意識を持って見てない物が見え る事だと思います。 これらの写真は町中に存在している植物に目を向けた物だと思いますが、 その周りの空間や物が見える写真に仕上がっています。写真を見る人には、 その植物が存在している環境や空間が認識でき、普段、気付かないまま通り過ぎていく風景の中に色んな物が見える面白さを感じることが出来る写真だと思います。

(コメント 林憲治先生)

 

 

◎審査員賞

1年05組 虞 曉  

被写体との距離が近い。長いレンズではなくワイドレンズで一歩踏み込んで撮影している。その距離感がこの写真の強さです。撮影するにはやや気後のする人物だが、臆せず近づいているところが良い。 ノーファインダーでのカットもありそうだがそれを感じさせない瞬発力を感じる。モノクロプリントのトーンもしっかり出ていました。欲を言えば、5枚の中に、人物を正面から撮影した写真が一枚でもあれば、ストリートフォトとして、さらに強い作品になったのではなかろうか。

(選出・コメント 倉持正実先生) 

 

 

1年05組 阪口 遼 

初めて4×5の大型カメラを使用したと聞いた、やはり不慣れ感が伝わる写真だ。 けれども、意識か非意識か、撮影者の立ち位置をさらけ出すように、障害物も画面に取り入れた。つかみどころのない性質の写真だが、意識に染め渡った映像を作り出す大型カメラ写真家の行為への抵抗として見るなら、得難い習作だ。直感に素直に従って行動を出したが、決して自己充足的なものではないと思う。

(選出・コメント 田凱先生) 

 

 

1年03組 ショウ コウクン 

人の写り方が面白いですね。多くの人の表情や仕草が見えます。時間を止める面白さが写真の重要な要素ですが、それが出来ています。時間を止めて写真に写っているから人の動きや表情がしっかり見えますが、写真でなければ気付くこともなく通り過ぎてしまう風景、様子です。見えていても見てない物や様子そして空間が見えてくると写真は面白くなってきます。画面の隅から隅まで見る人が目を動かすことが出来る写真です。

(選出・コメント 林憲治先生)  

 

 

1年03組 曲 悦萌 

ありそうでないシュチュエーションを見つけ、その状況を上手く活かして撮影された写真です。今回拝見した中では、「組写真」ということを意識して構成されている数少ない作品だと思いました。プリントも美しく印象に残るものでした。

(選出・コメント フジモリメグミ先生) 

 

 

◎入選

1年02組 

杉野 ほのか 

鄭 斯宇 

 

1年03組 

桂 欣然 

 

1年04組 

舘 佳苗 

三野 名生 

宮脇 遼 

 

 

【 総評 】

授業が始まってから2ヶ月弱の校外実習でした。各コースに分かれての取材体験をするフィールドワークです。同時に、これまでの授業で学んだ技術的な力量を判断するコンペでもありました。 相対的に縦構図の写真が多かったように思います。スマホの普及で縦フレームで撮ることに慣れすぎているからではないかと推測されます。横構図で撮ることもにも慣れましょう。

ネガフィルムで撮影したもの、あるいはネガカラーフィルム風のトーンでプリントされた作品もありました。これは、アプリも含めたデジタル技術の進歩であまりにも簡単に、きれいに写ってしまう事への反動なのかなとも思います。あるいは今のノスタルジックな潮流のひとつなのかもしれません。

フィルムでの撮影を否定しているわけではありません。むしろフィルム撮影はたくさん体験してください。できればモノクロフィルムで現像からプリントまでを体験しておくとデジタルでの写真表現にも役に立つでしょう。

同じ作者でもプリントのトーンにばらつきがあるのが一番気になりました。授業が始まってさほどの期間を経ていない時期ですから、仕方のないことではありますが、まず適正と言われる色調、彩度、明度、でプリントアウトできるようにしましょう。

基本というものは地味で退屈なものです。しかし、地味な積み重ねの中から、撮影も含めた各人のカラーやトーンが身についてくるでしょう。前期で、まず基本を身につけましょう。その先に君たちの伸びしろは広がっています。

 

総評コメント:倉持正実先生

 

 


 

風景写真を撮るのが好き、広告写真に興味がある、写真でアート作品を制作したい、フィルム写真と現像に挑戦したい、海外から写真を学びにきている…など、それぞれが目標に向かって学校生活の中でさまざまな課題にトライし、たくさんの経験を積んでいきます。

1年生たちの今後の作品がとてもたのしみです。